江崎浩司 クリップ集 「孤独の音楽の喜び」
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  「1669年 シャクシャインの戦い」   テレマン協奏曲ハ長調   テレマン協奏曲ニ短調    
 ディスコグラフィ ~  
 
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    ■江崎浩司/ヤコブ・ファン・エイク/≪笛の楽園≫  
  …… レビュウを集めて ……   
   
                   
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第7集の「レコード芸術2022年度第60回レコード・アカデミー賞音楽史部門」受賞に続き
第8集が「令和4年度(第77回)文化庁芸術祭賞・レコード部門・優秀賞」に選ばれました。
 
 
受賞理由 
2021年に若くして亡くなった江崎浩司の、いわばライフワークとも言えるシリーズの完結篇。
シンプルなリコーダー、およびそれに類する楽器から、めくるめく音楽が溢れるように出て
くる魔法のようなアルバム。 またそれに興じる演奏者の悦びが、曲のそこここに見出され、
聴き手の心をも愉しく豊かにしてくれる。これぞ笛の醍醐味。
 
 
   
お知らせ

 対談「ファンエイク《笛の楽園》全8集が伝えるもの」(満津岡信育/矢澤孝樹)が
 レコード芸術2023年2月号View point に、5頁にわたって掲載されています。
レコード芸術・レコードアカデミー賞音楽史部門・選考過程については、こちらでご覧になれます。

 
 
 
… 江崎浩司《笛の楽園》によせて… 

 17世紀の作曲家 ファン・エイクの遺した
 笛と管楽器のための曲集「笛の楽園」
 全148曲(+3)の独奏曲集
 
 使われている楽器は
 様々なタイプや音域のリコーダー
 ショーム ドゥルツィアン


 時を超えて呼び戻された楽器たちは
 的確にキャスティングされた役者のように
 のびやかな演技で エイクの世界を描き出す

 
 
 繰り広げられる様々な場面に
 人は 子どものように魅せられて
 8枚のCD すべてを聴き終えたなら
 大きな物語を読み終えたような気持になって
 ふぅっと 満足の吐息をつくだろう
 
 一つの曲から次の曲へ移るときの音色の変化
 調性の絶妙な展開は 江崎浩司の いわばデザイン
 意外性と的確の微妙なバランスが 何とも楽しい

              堀江はるよ

…第1集~第8集・ ご案内とレビュウ…     
 
コラム「僕とエイクと楽園と」 
このプロジェクトの進行と並行して、2016年9月から2021年11月にかけて
江崎浩司さんが執筆、季刊リコーダーに連載されたエッセイが、こちらでお読みになれます。

 
 
 
 
 
 
第8集 ご案内  
 
 


  
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  [録音評] レコード芸術2022年8月号より
 ●リコーダーだけで9種類におよぶ使用楽器の音色や
 味わいを、解像度よくのびやかに捕捉。小編成のレコー
 ディングでは定評ある神奈川県立相模湖交流センターの
 艶やかで豊富なアンビエンスをフルに生かした好録音。
 演奏ノイイズが巧みに抑えられた楽音は適度なふくらみ
 を備え、多彩な倍音が空間へ散っていく。
 すばやい指遣いが目の前に浮かぶよう。  (宮下 博)
  ブックレットより(抜粋)

 江崎浩司さんが帰らぬ人となった。
2021年12月15日に、満50歳の若さでこの世から旅立ってしまった。
「笛の楽園」の全曲録音が」、文字どおりのライフワークとして残されたことは、
私たちにとってせめてもの慰めである。
江崎さんの訃報に接したとき、第7巻のブックレットの編集作業は既に最終段階に至っていた。
ご本人が寄せた文章を含めて、その状態にいっさい手をつけないままリリースの運びとなったのは、
既にCDを手にされた方ならお察しのことと思う。最終をしめくくる今回の第8巻に関しては、事前に
準備が済んでいた日本語曲名のみが存在し、第1巻から江崎さんが執筆を続けた隅々まで啓示に富む、
そして全曲録音の価値をかけがえのない次元にまで高めてきた楽曲解説は、いわばコーダを目前にして
途絶えてしまった。
筆をとる時間さえ残されていたら、この第8巻のブックレットでは黄金時代以降のオランダの音楽事情
にまで説得力豊かな論考がなされたはずなのだが、接することが叶わないのは残念の一言である。
そしてそれ以上に、あの屈託のない風貌や物腰から放たれる、雄弁にして人懐こい楽の音に、
もはや私たちは録音でしか接することができない。
 江崎さん、あなたの笛は楽園の中で生き続ける。どうか安らかにお眠りください。  (木幡一誠)


                   ★第8集のブックレットの解説は、木幡一誠氏によります。


第8集 レビュウ  

 ~レコード芸術 2022年8月号【 新譜月評 】より~

  特選盤  推薦     美山良夫 
 
  江崎浩司によるエイク《笛の楽園》の全曲録音が、遂に完結した。リリースされるたびに、個々の楽曲
 の書法や背景、旋律の由来などに即して楽器を選び、正確なディミニューションの演奏に加え、聴く者に
 喜びを感じさせる工夫を交えた演奏に感服してきた。この、江崎ワールドともよぶべき音楽的豊穣と親しみ
 を体験できるディスクは、これが最後となる。昨年急逝した彼の、遺作だから。

  第8集に含まれる作品の多くは、既存の旋律による変奏である点は、これまでと変わりない。だが、つぎ
 つぎに短く即興的な楽句が継起するファンタジアは、エイク作品のなかでは異色。江崎は、巧みに連続性を
 もたせて一気に吹いてみせる。また〈あの頃、私は恋に狂っていた〉や〈詩編第101篇〉の、息の長い旋律
 を奏し、それを軽々と飛翔する変奏へ繋げてみせるアルト・リコーダーの巧みも指摘しておきたい。

  オリジナルの楽譜は、小さな横長の、活版で印刷された素っ気ない楽譜。そこを起点に、周到なリサーチ
 と天衣無縫のイマジネーションでエイクの人物像と彼が生きた時空をさぐり、《笛の楽園》のなかにひろが
 る英国からフランス、イタリアに及ぶ広がりをも着実に演奏に反映、400年も前の音楽が、今の耳にも親し
 く響く。

 今回は演奏者による解説は欠くが、詳細な曲目ノートが付されている。リコーダー愛好家にとどまらず、
 多くの人に、今後永く愛されるべき全曲録音が遺されたことを感謝せずにはいられない。



  特選盤  推薦     矢澤孝樹 
 
  ついに終章にたどり着いた。江崎浩司の大プロジェクト、エイクの《笛の楽園》全8集。
 だが最大限の敬意をもって讃えられるべき江崎浩司その人は、すでにこの世にいない。
 没後発売となった第7集にはそれに関する記述がなく、私は当欄でその点に疑問を述べた。
 追悼の念の表明や完結についての説明があるべきでは? と。

  だが間髪入れす発売された第8集を聴き、ブックレットを読み、すべての疑問は氷解する。演奏はすべて
 当人の「承認済み」なのだろう。クォリティはこれまでの7集になんら劣らない。そして当全集で主要部分
 の解説を書いた江崎浩司本人の伴走者として執筆してきた木幡一誠氏が、心のこもった追悼文と入念な楽曲
 解説を捧げている。第7集は江崎本人の完成への意志を最大限尊重する形で作品化され、第8集でどうしても
 足りない部分を補う、という制作方針が理解できた。バルトークのピアノ協奏曲第3番のわずかな未完部分が
 当人の意図を尊重して注意深く完成に導かれたように。

  最終巻だがなんの気負いもなくいつもの江崎で、多種多様な楽器を駆使した変奏の妙味が繰り広げられる。
 〈かわいいシレナ〉の小気味よいタンギング、宗教曲の素朴な信仰心の表明。突然世を去ることなど微塵も
 感じさせず、江崎はエイクその人となって笛の楽園を現出させ、この世を去った。この全集は、演奏と聴く
 ことの原点の喜びに、私たちをこれからもずっと立ち返らせてくれるはずだ。


「笛の楽園」日本初の全曲録音  昨年急逝 札幌出身の江崎浩司 北海道新聞 2022年7月16日夕刊 
 
 【古楽器吹き分け150曲 最終巻発売】             編集委員 山本哲朗

  札幌出身で昨年12月、50歳で急逝した日本有数のリコーダー奏者・江崎浩司が亡くなる直前まで手がけ
 たCD全集が完成した。 オランダのリコーダー大家ヤコブ・ファン・エイク(1590年頃~1657年)が作曲
 した、約150曲に及ぶ管楽器独奏曲集「笛の楽園」を2017年から順次、演奏録音してCD化、締めくくりの
 第8巻が発売された。「笛の楽園」全曲録音は日本初。最後の音入れを終えた後、大仕事の完成を見届けた
 かのように天空に駆け上った。

  江崎は昨年12月15日、脳幹出血のため東京都内の病院で亡くなった。
 札幌西高出身、桐朋学園大古楽器科を卒業後、世界的に知られる古楽器演奏団体「バッハ・コレギウム・
 ジャパン」や、古楽器アンサンブル「タブラトゥーラ」などで活躍。リコーダーだけでなく古楽器から
 民族楽器まであらゆる「笛」を吹きこなす名人として知られた。

  今回のCDは「江崎浩司 ヤコブ・ファン・エイク 笛の楽園Vol.8」(3080円)で、「笛の楽園」の
 127番から148番まで22曲を収め、5月にフォンテックが発売。昨年4月、演奏録音した。その年末、CD
 の最終確認など進める最中に急逝した。

  ファン・エイクはユトレヒトの教会でリコーダー奏者などを務めた。彼が奏でた楽曲が譜面に編纂され、
 総数約150の「笛の楽園」になった。単旋律の古風なメロディーは、世界貿易で栄えた当時のオランダを
 物語る。 江崎の仕事について、音楽評論家の木幡一誠はCDの解説文に「ファン・エイクの生きた時代に
 大衆が抱いていた精神世界の何たるかと、そこに音楽が与えた影響や果たしてきた役割を、鮮やかに読み
 解き、演奏によって命ある形で再現してみせた」と書き、高く評価した。

  「『笛の楽園』の全曲録音は日本初で、海外でもスウェーデンのダン・ラウリンの録音があるくらい」と
 話すのは、フォンテックの担当者古谷達也。「江崎さんはチャレンジングで、一大プロジェクトに楽し気に
 挑んでいた。多くの古楽器を吹き分けて収録する必要があり、マルチプレーヤーの江崎さんだからこそでき
 た仕事」と振り返る。

  江崎が24年間参加した「タブラトゥーラ」を主宰するリュート奏者つのだたかしは「彼に初めて会ったの
 はまだ桐朋学園に在籍していたときで弱冠19歳。それから50歳になるまでに重ねた努力とユニークな経歴は
 すばらしい」とその死を悼む。

  問い合わせはフォンテック、電話03・3393・0183へ。



~月刊 モーストリー・クラシック 8月号 【音楽史・バロック】より~

  「笛の楽園」全曲録音の偉業を達成し逝く           佐藤康太  
 
   江崎による「笛の楽園」全曲録音がついに完結した。この第8巻の収録後、昨年12月に亡くなったという
 江崎の遺した偉業は、リコーダー音楽の金字塔として讃えられるべきだろう。これまで同様、江崎が笛1本で
 見せる世界の多彩さは驚異的だ。 遊び心ある酒飲みの歌から、自由闊達なファンタジー、そしてシリアスな
 詩篇曲まで、その表情の豊かさは古楽に留まらずマルチな活躍をした江崎ならではと言えるかもしれない。


    笛の達人が残した「楽園」150曲   朝日新聞 2022年6月16日夕刊 【CD展望】より
 
  リコーダーとバロックオーボエの名手、江崎浩司が昨年12月、50歳で急逝した。
 バロックファゴット、サクソフォン、古楽器や民俗楽器に至るまで、多彩な管楽器を自在かつ自然に奏する
 「笛の達人」。活動も多岐にわたり、古楽器アンサンブル「タブラトゥーラ」での越境的なステージ、自ら
 企画した音楽劇、教育活動、各種媒体出演等々、縦横に動き回った。

  その江崎が近年取り組んでいたプロジェクトに、ヤコブ・ファン・エイクの「笛の楽園」全曲演奏がある。
 録音自体は生前に果たされており、5月に出た第8集で完結した(fontec)。ファン・エイクは17世紀前半の
 アムステルダムで活躍したリコーダーの名手で、「笛の楽園」は全150曲からなる独奏曲集である。収録曲
 は 主題と変奏の形式で書かれ、主題に選ばれたのは宗教曲から当時の流行り歌(はやりうた)、舞曲など。
 つまり当時の世相を透かし彫りにする一大アンソロジーなのである。

  江崎は入念な準備で録音に臨んだ。各曲にふさわしい笛を選び、曲の背景や当時の社会情勢、思想にまで
 踏み込んだ読み応えのある解説まで自ら執筆した。澄んだ響きでファン・エイクの原曲をバランスよく再現
 する演奏は、曲が求める即興性を躍動的に表現し、全体像を過不足なく描き切った。

  ファン・エイクは教会のカリヨン(鐘と組み合わせた鍵盤楽器)やオルガン、横笛まで奏でたマルチ音楽家
 で、リコーダー1本で人々を楽しませたという。江崎の早世は惜しまれるばかりだが、自らの活動とこの曲集
 の完結によって、音楽の喜びを人々と共有するファン・エイクの精神を21世紀に見事に再生させたのだ。(矢)


 ~読売新聞6月24日夕刊 ●Evening Entertainmentより

  ★注目 読売新聞 2022年6月24日夕刊 【Evening Entertainment】より 選評・沢野雄司 西村朗 船木篤也
 
  ヤコブ・ファン・エイク 笛の楽園Vol.8
 17世紀オランダの作曲家が残した140曲超の英コーダー曲集「笛の楽園」。その全曲録音に取り組んだ
 古楽器奏者、江崎浩司が昨年末に世を去った。その最終巻・完結盤で、曲集の最後を飾る23曲を収める。
 時代精神を鮮やかに読み解いた名手の死が惜しまれる。(フォンテック)

 
 
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H.H.

 
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