■江崎浩司/ヤコブ・ファン・エイク/≪笛の楽園≫  
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   [録音評] レコード芸術2017年8月号より

●リコーダーの楽器イメージが自然な大きさにまとまり、
 聴き手と演奏者の自然な距離感が伝わる優秀録音。
 録音会場の上質な余韻を活かすことによって、単旋律
 ながらハーモニーを感じさせることにも注目したい。
 計18本のリコーダーそれぞれの音域、音色の違いが
 鮮やかに浮かび上がり、ショームなどリコーダー以外の
 楽器がもたらす変化も聴き手の耳を心地よく刺激する。

                  (山之内正)


  ブックレットより(抜粋)

高度な身体性を備えたパフォーマンスこそが、その強みを発揮して生き残るべき時代なのだ…と
いうことを最近とみに痛感する。

江崎浩司は、さしずめそんな行為の担い手の最右翼ではないか。古楽器奏者として彼が操る楽器は
やたら種類が豊富だけれど、このアルバムに並ぶような広義の”笛”から紡ぎ出す音楽の説得力をい
かに形容しよう。それは眼前で生まれ落ちたばかりの曲に接しているかのような真実味と、そして
演奏者の生々しい息吹となって耳に迫りながら、自然発生的な即興性を満面にたたえ、しかしただ
奔放に振る舞うのをよしとしない知性と思索の深さまで背後に感じさせる。
けだし全人間的なパフォーマンス。

ユトレヒトの地に身を置いていた1人の盲目の楽士は、手にする笛を通じて開かれた世界とつながり、
即興演奏的なディミニューションも通じてイメージの翼を広げていった。 それと同じように、江崎
さんはここらで自ら笛吹として全存在をかけてファン・エイクの時代とつながりながら(そして更に
長いスパンスに及ぶ歴史の波も視野に収めながら)、譜面として残された作品の背景をなすものまで
追体験し、そのスリリングな試みを今日の聴き手である我々と共有すべく臨んでいるように映る。
そう、まるで楽園の扉を開け放つかのごとく。
                                       (木幡一誠)


 
 
 
  ~レコード芸術 2017年8月号 【新譜月譜  音楽史】より~

  特選盤  推薦     皆川達夫 
 
 江崎浩司さんがヤコブ・ファン・エイク(1589/90~1657)の《笛の楽園》全曲演奏を企画し、
今回その第一巻として19曲の演奏盤を刊行された。言うまでもなく17世紀オランダのユトレヒトで
活躍した盲目のカリヨン奏者によるリコーダー曲集で、変奏つき舞曲や世俗・宗教歌曲の編曲など、
150曲近い無伴奏独奏曲を収めている。今までににも当曲集から 抜粋した演奏盤は多数あるが、
これが全曲を世に問おうとする野心的、意欲的な試みである。

江崎さんは8種のリコーダー、さらにショーム、ドゥルツィアンなど計11種の管楽器から、それぞれ
の曲趣に応じた適切な笛を選びだし、吹きに吹いておられる。多数の楽器を自在に吹き分けて音色の
変化を計るばかりか、CD1枚を単純な旋律ひとつで聴かせ通す演奏の妙、音楽づくりの充実に感嘆
しつつ聴き入った。〈タンネケンの変奏〉(第18曲)など、まさに圧倒的な迫力である。

3年ほど前だったか、テレマンの《12のメトーディッシェ・ゾナーテン》で「レコード・アカデミー
賞」を受けられた江崎さんのことだけに好演奏は当然としても、今回の快挙に大きな拍手を送りたい。

ご本人執筆の解説文が、これまた好ましい読みもの。作曲者や曲集について読んでゆき、「面白いな」
と思ったとたん、「次回のお楽しみ」とばかりに終わってしまう。
これではもう、次の第2巻を待つほかないではないか。
 


  特選盤  推薦     美山良夫 
 
 テレマン《メトーディッシェ・ゾナーテン》の才気あふれた演奏(レコード・アカデミー賞に選定)に
驚嘆してからさして年月を経ていないのに、今度は《笛の楽園》全曲録音だという。リコーダーに興味が
あれば誰もが知っている有名な曲集ではあるが、収められた単旋律の独奏曲148曲のうちで、実際に演奏
される曲は比較的限られていた。全曲ともなれば、どのように聴かせるか、工夫が求められよう。

 江崎浩司は、さまざまな楽器を巧みに演奏してしまう才覚の持ち主。そのメリットはこの最初のディ
スクでも遺憾なく発揮されている。ヤコブ・ファン・エイク自身おそらくは考えもしなかったであろう
多種のリコーダーにとどまらず、ショーム、ドゥルツィアンを織りまぜて、それも曲のキャラクターに
合わせて楽器を選択して演奏をくりひろげてみせる。

 エイクが用いた旋律は、当時知られた歌曲などから転用している例が多い。演奏は、原曲の歌詞など
その曲の出自をもとに表情を付加するというよりは、純粋な器楽的な面白みを最大限引き出す方向に自ら
の立ち位置をさだめている。闊達な演奏はすべてに通じ、いくつかの耳に馴染んだ作品も、はじめて聴く
かのように新鮮に響く。この曲集のやや複雑な成立過程、使用楽器、個々の旋律とその由来について演奏
者自身が記した仔細な解説は、《笛の楽園》への格好の手引きとなるだろう。
全曲録音へ向けての、充実した第一歩がここに刻まれている。
 


 ~朝日新聞 7月24日夕刊 【 for your Collection クラシック音楽 】より~

  ヤコブ・ファン・エイク:笛の楽園 Vol.1江崎浩司     片山杜秀 
 
 ヤコブ・ファン・エイクは17世紀オランダの目の不自由な音楽家。「笛の楽園」は全151曲。
笛一本で聖俗入り乱れる世界の細密画を紡ぐ。江崎はまず19曲を。考証と想像が相乗。活きた演奏だ。
全曲録音の完成を祈る。
 


~レコード芸術 2017年7月号 【 New Disc Collection 】より~

  江崎浩司によるリコーダー音楽の金字塔《笛の楽園》第一集  近藤憲一 
 
 わが国を代表するリコーダー奏者・江崎浩司の最新録音。
17世紀後半に活躍したオランダの作曲家ヤコブ・ファン・エイクの代表作《笛の楽園》(全151曲)の
第一集(19曲)を大いに楽しんだ。
 
 第一集は〈プレリュード〉から始まり詩編や聖歌といった宗教的な曲、世俗的な歌、それに様々な舞曲
を交えた組曲形式が採られている。そこで描かれているのは17世紀オランダの市民の日常だろうか。
音域の異なる8種のリコーダー、3種のショームとドルシアン(オーボエとファゴットの前身)を吹き分ける
江崎の妙技と清澄な響きが耳に快く、盲目だったと伝えられるエイクの音楽が、同時代の「光と影の画家」
フェルメールの絵に通じるように思えてくる。
長い時間がかかるだろうが、全曲が録音されることを期待したい。
 


~CDジャーナル 2017年8月号 【 NEW DESCS 今月の推薦盤 】より~

  記念碑的録音の船出    矢澤孝樹 
 
 管楽器のマルチ・インストゥルメンタリストというとジャズのエリック・ドルフィーやローランド・
カークを思い浮かべてしまうが、現代日本には江崎浩司がいる! しかも古楽からジャズまで八面六臂。

さて当盤は17世紀前半のオランダ人、ファン・エイクが”笛”のために書き出版した約150曲の無伴奏作品
を全録音する大プロジェクトの第一弾。8種のリコーダー、ショームなど3種、計11種の管楽器を駆使。
宗教曲から流行歌まで、当時の”スタンダード”が次々と変奏されてゆく。

 音楽の”かたち”が見えるタンギング、速いパッセージの小気味よい運動感、歌心……名手の妙技に、
無伴奏曲が延々と続いても飽きることがない。そして、特筆すべきは江崎のどこか人懐こく、あたたかい
息遣いの音色だ。当時のアムステルダムに生きた人々の喜怒哀楽が伝わってくるような温もり。

本人による詳細極まりない解説も、1本の笛のむこうの広大な背景を眼前に広げてくれる。
記念碑的録音の船出に乾杯!
 


~音楽現代 2017年8月号 【 音現新譜評 】より~

  推薦            石丸裕実子 
 
 オランダの音楽家J.V.エイクの「笛の楽園」全150曲録音に挑む江崎浩司。
 本CDは記念すべき第一弾であり、19曲が収録されている。

 17世紀中期に出版された「笛の楽園」第2集冒頭には、笛や管楽器以外の楽器にも役立つ旨が記載
されている。江崎はその言葉の通り、リコーダーのみならず、オーボエの祖先ショームやファゴット
の祖先ドゥルツィアンをも使い分けており、CDを通して11の楽器を用いている。
 
江崎の音色はアーティキュレーションが非常に明確であり、瑞々しい。作品と各楽器のキャラクターが
見事に一致しているし、リコーダー以外の聞きなれない楽器の音も新鮮で楽しい。
たった1本の笛で、ここまで聴き手を楽しませる江崎の技量に脱帽した。
 


 
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H.H.

 
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