「堀江はるよのエッセイ」

〜日常の哲学・思ったこと考えた事〜


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昨年9月以来、作曲を休んで、コンサートの開催、「ひらがなの手紙4」の制作、
  PRや販売など、専門外のことに時間を使ってきた。


  ブタもおだてりゃ木に登ると言うけれど、おだてられた訳でもないのに已む無く
  木に登ったブタがいたとしたら、私のような気分を味わうのではないかしら。
  PRや販売に関して、私は、どこか根っこの部分で能力が欠けている気がする
  けれど、努力で補える種類のことではないみたい。まぁ仕方がないです。


  そんな営業活動も一区切りしたので、朝の庭仕事を始めた。
  6時ごろに起きて、ゆっくりと体をほぐして、食事をして、庭に出る。
  咲き始めた黄菖蒲の根元は、ミントとドクダミのジャングル状態。
  思えば、もう半年以上も放りっぱなしだった。


  外へ向けて精一杯広げていたアンテナを畳んで、肌が感じるものに耳を澄ます。
  まだザワザワしている気持が、もう少し静かになったら作曲に戻ろう。

  ふんわりとした気持に戻るまで、
  もう少し待ってみよう。


                              2010.5.21     


多年草


  
洗濯物を干しているうちに、もう10時になってしまった。

  真夏のような陽射しの中を、駅向こうの、歩いて30分ほどのの産直野菜の店に
  買出しに行くべく家を出る。リュックをしょってショッピングカートを曳いて、
  お財布の入ったポーチを斜めに肩からかけて黒い日傘を差したところは、
  ホームレスの予備軍に見えなくもないかも…。

  箱にゴロゴロ入っているキャベツの中で一番大きそうなのを取る。
  何種類も並んでいるジャガイモの中から、食べたことのない赤いのを選ぶ。
  その場で齧りたくなるような二十日大根を一袋、不ぞろいな椎茸も袋で一つ。
  あれこれ買って、レジでお金を払いながら、来て良かったなぁと思う。
  手をかけても、かけなくても、ここの野菜は美味しい。そして安い。

  料理は好きだが、当然の義務になってしまうと、休業日なしの毎日3食が
  重たくなることもあって、そういうときは「買い出し」にでかける。
  ならば楽しんでしまおう…というわけ。


  0時までやっている近くのスーパーには、夜9時過ぎに行く。
  8時半ごろから店員さんが、生ものに赤と黄色のラベルを貼りはじめる。
  50円引き…100円引き…2割引…半額…わぁラッキー!!

  仕事帰りらしい単身者や、若い夫婦が来ている。
  やたら明るいBGMが、洗濯機の水みたいに私の頭の中で渦巻いて、
  脳ミソのお洗濯…状態になるらしく、ストレスが消えてゆく。


  散歩のついでに覗くのは、近くのリサイクルショップ。食器が楽しい。
  昔から好きだった沖縄もの、織部風の皿、色も形も様々の小鉢類、
  最近では、黒の益子の急須の、蓋が金継ぎ…というの。

  益子は、私にしては少々奮発しなければならなかったけれど、
  皿や小鉢は、たいていはハンパ物で、まとめて買っても百円玉数個。
  それでも度重なれば…ではあるけれど、そのくらいイイよね、馬子にも衣裳、
  手料理にパッとおしゃれをさせてやろうじゃありませんか…ねぇ。

    *     *     *

  私という人間を植物に例えるなら、芽を出して花を咲かせて実を結んで、
  それで完了の一年草ではなく、多年草みたいでありたいなぁ…と思う。

  小さな花を咲かせて、なけなしの実をつけて、
  それっきり見えなくなったかと思ったら、次の春にまた芽を出す。
  天候に恵まれてもいないのに、ともかくヒョロヒョロと茎を伸ばし、
  相変わらずの地味な花を咲かせ、誰が気がつくんだろうと思うような実を、
  つけて、落として、枯れて見えなくなって、でもまた次の春には
  古い根っこから新しい芽を出し、茎を伸ばす…
  
    *     *     *
  
  作曲に集中できる時間は多くない。
  一日は、こまごまと分断されている。
  そういう中で、出来ることは何だろう?

  今年より来年、来年より再来年、
  根っこを大きくしてゆくことかなぁ。

  毎日を元気に生きて、
  大きな根っこから小さな花を、
  ふうわりと咲かせたいです。
  


     ★ 多年草の越冬の形態(ウィキペディアより)

       通年にわたって地上に姿を見せているものもあるが、
       地上部の茎や葉が枯れ落ちても地下茎や根などが休眠状態で残り、
       翌年、そこから再び茎や葉を伸ばすものもある。地上部が枯れて
       しまうものを、園芸方面では宿根草と呼ぶ場合がある。


                              2010.7.15     


スタート


  小曲集「はるのむこうへ」の、リコーダー&チェンバロ版を仕上げた。
  リコーダーの江崎浩司さんのお手元に、もう譜面はお届けしてある。
  チェンバロの長久真実子さんとの試奏を経て、一般に公開する楽譜として
  更にチェックをした後、自筆譜、コピー印刷で、出版の予定だ。

  出版を決めたのは十日前。それまでは考えてもいなかった。この曲集は
  1997年に「旋律楽器のための小曲集・はるのむこうへ」として、
  既に一度出版している。ギター伴奏版とピアノ伴奏版の二つの楽譜に、
  “仕事場より”と題したエッセイ26頁を添えて、好評だった。

  今回の、リコーダーとチェンバロのための「小曲集・はるのむこうへ」は、
  チェンバロという魅力的な楽器のために心を傾けて書いた楽譜ではあるけれど、
  「ひらがなの手紙4」へ投入した資金が回収しきれていない今、重ねての出版は
  とても考えられない。考える前に諦めていた。

   *     *     *

  堀江はるよの作曲活動に興味を持ってくださる方々に、月に2回メールで
  更新案内にメッセージを添えた「カタツムリ通信」をお送りしている。
  8月1日号には、こんなことを書いた。

      小曲集「はるのむこうへ」の、リコーダー&チェンバロ版を書き終えました。
      リコーダーとギターでCD「ひらがなの手紙2」に収録した曲です。 
      ピアノ伴奏版もありますが、その手直し…ではなく、全面的に書き換えました。
      チェンバロに似合うように!



  折り返し、二通のメールを頂戴した。


      <「はるのむこうへ」のチェンバロ伴奏版が出来たのですね。
        ぜひほしいです。出版・発売はいつでしょうか?
        また決まったら教えてください、
        というか、送ってください。


      <私の大好きな「はるのむこうへ」のリコーダー&チェンバロ版を
        書かれたとのお知らせを読み、大変うれしく思っています。
        もし出版なさるのでしたら是非購入したいと思います。


  出版は考えていない。どうお返事したものか…
  迷ったけれど、率直に申し上げるしかない。どちらへも、それぞれ
  ありのままの状況をお知らせして、次のように書いた。

      >お尋ねの件、実は今回の「ひらがなの手紙4」に全力投球いたしまして、
        次の出版は、もしかしてもう出来ないかも…と考えておりました。
          …中略…
        もし出版するとしたら、どういう形にするかが、悩むところです。 前回の
       「はるのむこうへ」のときのように、自筆譜をコピー印刷というのでしたら、
        制作費も少なくてすみますので可能性が出てきますが、商品として考えると、
        そんなみすぼらしいものを作っても…ということになりはしないでしょうか。


  すぐに、お返事が届いた。

      <私はそうは思いません。
        楽譜であればいいわけで、手書きのコピーであろうが、写植譜であろうが、
        作品には何の変わりもないのですからね。求められているのは、楽譜です。


      <私は自筆譜が好きなのです。
        最初に出版された「はるのむこうへ」の楽譜が
        私はとても気に入っています。


   *     *     *

  自筆譜には味があるが、慣れないと少し読みにくい。
  一般向けに出版する場合には、やはり浄書された楽譜が良いと私は思うけれど、
  そうした本格的な方法を取ろうとすると、様々なことの連鎖で制作費が嵩んで、
  今の状況での出版は、不可能になる。それならば、可能な道を選ぶべきだ。
  こんなふうに言って頂けるなら、そうしても良いのではないかしら?

  かたつむり出版の出発点は、自筆譜のコピー印刷だった。
  このことは「2000年までの私」の恩赦かたつむりに書いている。
  あれから13年。あの手づくりの「小曲集・はるのむこうへ」に愛着を持って、
  更に、チェンバロ伴奏版を楽しみにして下さる方々がおられたのを知って、
  ほのぼのと嬉しかった。


  実は、少し元気をなくしていた。
  もうダメ…じゃなかったなぁと思う。
  リンク、ご参照

   *     *     *

  リコーダーとチェンバロのための「小曲集・はるのむこうへ」
  自筆譜・作曲者による解説付き・A4判40頁。この冬に出版の予定。
  
  堀江はるよを応援して下さる皆様へ、
  心からの感謝をこめて、ご報告申し上げます。


                              2010.8.20     


     
 「小曲集はるのむこうへ」は、2011年2月発売、ただいま好評発売中。
           こちらのメールから、お申し込み頂けます。
           収録曲の入ったCDは、現在発売へ向けて準備中です。(2011.7)




もうすぐ完成


  制作中のリコーダーとチェンバロのための「小曲集はるのむこうへ」は、
  1月6日、レイアウトを済ませた文章のデータと、ペン書きの自筆譜を、
  本郷三丁目のヤマトコピーサービスさんにお渡しして入稿を終えた。
  そろそろ簡易校正のための校正刷りが届く。


  頁数は48頁になった。文章の載った頁は、短いものも入れて19頁。
  私の持ち込んだ原稿をスキャンで取り込んでPDFにしたものが、そのまま
  印刷されて製品になるので、遊び心で例のカタツムリのサインも入れた。
  モノクロなので、リボンだけ後から色鉛筆で塗ろうかと考え中。

  その他に別冊でパート譜。こちらは頁割りの関係で、最後の1頁と裏表紙が
  白紙になってしまった。いつもなら空き頁を有効に生かすべく頭をヒネるのだ
  けれど今回はそのまま入稿。もう何も思いつきません…力尽きました。


  実は昨年末、血圧でチェックが入って検査入院した。
  結果は、そんな事でも無ければしないような完璧な検査による「元気の証明」と、
  ビックリしたお蔭の、徹底した自己管理による高脂血症の改善。いずれは迎える
  後期高齢期に備えての車検を、保険で済ませたようなもので、良かったねぇ…
  ではあるけれど、かなり慌てました。ご協力下さった方ありがとうございます。


  心の混乱を映して、且つ、物理的に時間が足りなくて、散らかりきった部屋を、
  すっかり片づけてから、ゆっくりと「ご案内」発送の準備を始めるつもり。
  ただ、今回はCDではないので、どの範囲にお知らせしたものか…。
  自筆譜を見ながら作曲者の書いた文章…詩や解説を読むことに、興味を持たれる
  方もおられるだろうけれど、音でないと…という方も多いだろう。
  お送りしたDMが、優しい方々のお心の負担になっては申し訳ない。

  そのことも、名簿でお一人お一人のお名前を見ながら、
  これからゆっくりと考えようと思う。


                              2011.1.15

       ★ 「小曲集はるのむこうへ」は、2011年2月、お蔭様で無事発売いたしました。
             ただいま好評発売中です。皆様のご声援を、心から感謝申し上げます。




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