「堀江はるよのエッセイ」 〜日常の哲学・思ったこと考えた事〜 |
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十七の巻 夜の散歩 今年そして来年 ともだちって |
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夜の散歩 | ||
ときどき、夜、散歩に出る。 我が家から、「田んぼの中の道をしばらく行くと町の灯が見えてくる…」みたいな
感じの距離に商店街があって、畦道ならぬ住宅街の道を抜け、車の流れる6車線の 道路を渡ると、一つ目の商店街の入口にさしかかる。 左は小さな画廊。右側には中華そば屋。 そろそろ店を閉めにかかっているパン屋、肉屋、漬物や乾物などの店の間に、 ロマンティック小物やラッピング用品のミニ専門店、昭和三十年代風のどぎつい 色のポスターや玩具、ぬり絵など並べた店が、まだ灯りを輝かせて並んでいる。 ぶらぶら300mほど歩くと、二つ目の商店街の入口。 看板付きのアーチがあって、左に仏具屋、右に鯛焼きの店、花屋、古着屋。 あとは新旧さまざまな店がギッシリと脈絡無く、駅まで800mほど並ぶ。 妙に嬉しそうな雰囲気が縁日の夜店のようで、ここへ来ると私は、お祭りの夜に 小銭を握って家を出てきた子どもみたいな気分になる。 日曜の今日、どうしても行かなければならないのはレンタルビデオショップ。 先週のを返却。「旧作半額!!」を横目で確かめて、DVDを2枚借りる。 黒いエプロンのお兄ちゃんがニヤツと笑って“ありがとうッス!”と言う。 何だか元気になって店を出る。 歩行距離を伸ばそうと駅まで急ぎ足で歩く。 駅前の信号で、仕事帰りの人の波に押し戻されるようにUターン。 パチンコ屋の賑やかな音を聞きながら、ニ軒のお菓子屋さんをのぞく。 左側は全国銘菓と量り売りのお茶。今月のおすすめは桃のゼリー。 右側は上生菓子の店で、柿や栗…そろそろ菊をかたどった練り切りが並ぶ。 閉店時間が近づいた京樽のワゴンには、半額になった釜めし。 片付けにかかっていた果物屋で3個200円の梨を買って、前のスーパーの 二階の百円ショップに入る。ここは品揃えが凄い。広いフロアを区切って ありとあらゆるものが、ミニ百貨店よろしく売られている。 この系列の店の照明は、どこも目が痛くなりそうに明るい。 人も昆虫のように光に吸い寄せられる習性があるのかしら…? 誘蛾灯ならぬ誘人灯ではないかと怪しみつつ、一渡り眺めて出ようとしたら、 オレンジ色のカボチャが目に付いた、くりぬいた三角の目と三日月型の口、 大小さまざま、お馴染みハロウィンの飾り物。そんな季節かぁ… 小さいのに目がゆく。 名刺くらいのモスグリーンの台の片側にプチトマトみたいなカボチャ。 その上で、真っ黒なコウモリのお化けが、目をむいてワッと羽を広げている。 左には小さな肌色のソフトクリームみたいなお化けが、シッポをくねらせて 目尻を下げてバンザイしている。 ポリ塗装だけれど、木彫りで、表情があって、量産品の侘しさが無い。 誰がどんなことを考えながら作ったのかなぁ…と、連れて帰りたくなった。 105円払って、小さなレジ袋をプラプラ下げて帰途に着く。 家の近くまで来たら消防車が、鐘を鳴らしながら3台…えっ、近く?!
家の角を通り過ぎて…あ、ウチじゃなかった!…でもそっちの方に友人の家が… 行方を目で追って、私も家の角を通り越す。いや、消防車は更に先へ。 やれやれと家に戻ったら、お化けたちが消えていた。袋ごと無い。 やっぱりオバケだなぁと諦めかかったが、そういうもんじゃないと思い直して 夜道を引き返し、目を凝らして歩くこと数分、さっきサイレンを聞いたあたりで、 暗い中に浮かぶ白いレジ袋をみつけた。 お化けたちは今、棚の上に居る。 2009.9.18 |
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今年そして来年 | ||
かたつむり出版を名乗って16年になる。 社長以下総勢一名、内心の葛藤はあっても労使問題は無い。
働いてはつぎ込んで、5冊の曲集と3枚のCDを作った。 第一回の自主コンサートは1993年。 第二回は、2年後に開催の予定が…出来なくて…出来なくて… 2009年の今年、ついに開催。あきらめなかった自分を、ほめてあげたい。 実は今年の1月には、もうダメかもしれないと思った。 堀江はるよさんの音楽を世に出そうにも、何もかもが余りに整わない。 もう無理かも気分で、とことん落ち込んだ次の日、新しい歌「舟」が出来た。 続いて歌が6曲、ヴァイオリンの曲とピアノの曲が1曲ずつ。そして、 その曲たちが私に、新しい形の出版を思いつかせ、コンサートを企画させ、 ダメかもしれなかった今年を、ワクワクするような楽しい一年にしてしまった。 いつも思うのだけれど、人生は予測がつかない。 それは良いけれど、出版は来年が最後になるかもしれない。 作曲は紙とエンピツがあれば出来るけれど、出版はそうはゆかない。 一匹カタツムリのがんばりに、基本の所でそろそろ限界が見えてきた。 ならば、思いっきり作りたいものを作ろう。そう思って来年2010年の 「ひらがなの手紙4」に、力のありったけを注ぐ決心をした。 12月に入って、「桃花の譜」が初演された。3年前に書いた作品。 松尾慧さんの笛の音に、3年前の私の姿が浮かんだ。 あきらめることのできない自分を持ちながら、飛びたてずにいる。 今の私なら、終章はもっと強い表現をしただろう。 そうだ、弱気になってはいけない、ここでメゲてはつまらない。 背筋をのばして、胸をはって、出来ることをしよう。 タイトルは「ひらがなの手紙4〜堀江はるよのコンサート」 パンフレットはA4、表紙のイラストは星の海にうかぶ舟、 CDに添えてエッセイが12、伴奏付きの歌の楽譜が40頁、 収録曲はピアノが1曲、ヴァイオリンが2曲、歌が10曲、 2010年2月に録音、定価3000円、発売は4月… 皆さん! どうぞ「ひらがなの手紙4」を買って下さい。 2009.12.17 2009年11月、「ひらがなの手紙4」の収録曲によるコンサートを開催いたしました。 「堀江はるよのコンサート・文字放送版」にて、お楽しみいただけます。 |
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ともだちって | ||
CDとエッセイと楽譜の「ひらがなの手紙4」は、入稿を終えて一息。 製品になって届くのは4月15日前後。予定の4月10日より遅れたのは 私の読みが甘かったからで、全ては順調に進んでいる。 こんなことをしたいなぁ…と思う。 こうすれば出来るんじゃない?…と思いつく。 それならやってみようと決心するが、その時点では、 まだ知らないことについては、知らないことすら知らない。 清水の舞台から飛び降りる決心をしてから、その高さに気がつく。 そんなふうだから、ここまで来られたのかもしれない。 清水の舞台で、すくんでいる時に、それでも飛ぶ決心を支えてくれるのは、 私を知る人たちからのエールだ。 人づきあいは、どちらかというと苦手だったが、清水の舞台から飛ぶことを 繰り返すうちに、いろんな人と出会って、気持がぬくもってきたというか、 心にゆとりができて、人とふれあうことを楽しみ、考え方の違う人の存在を 面白がれるようになってきた。 そういうふうに自分が変わってゆく中で、2年ほど前に歌を書いた。 題は「ともだちって」、フォーク調の明るい曲だ。 ♪ ともだちって どうゆうもの? ともだちって どんなもの? どんなものって おもっている? あなたは? あなたは? ともだちって うれしいもの ともだちって たのしいもの たのしいもの うれしいもの こころに こころに ともだちって やさしいもの ともだちって つよいもの つよいもの やさしいもの こころに こころに ともだちって せつないもの ともだちって かなしいもの かなしいもの せつないもの こころに こころに ともだちって やすらぐもの ともだちって いとしいもの いとしいもの やすらぐもの こころに こころに ともだちって どうゆうもの? ともだちって どんなもの? どんなものって おもっている? あなたは? あなたは? どんなものって おもっている? あなたは? あなたは? 19年前に、私は「友だち」という題でギター変奏曲を書いた。 もう20年ほどしたら「お仲間」なんて曲を書くかもしれない。 2010.3.20 「ともだちって」は、2010年4月4日(日)に 成蹊学園のホームカミングデイ・桜祭りで演奏されました。 「ひらがなの手紙4」は、2010年4月15日発売。 |
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