生垣 |
|
|
本日は草取り。
しゃがんでの作業は、代わるがわる片膝をついても、長時間になると辛い。
思いついて、前に買ったままになっていた、こまわり君とかいう小型の台車を
使ってみることにした。
台に座って足を投げ出して、開脚前屈の要領で屈みこんで草を採る。
お尻で漕ぐようにしてキャスターで移動、疲れるとハンドルにもたれて休む。
ハンドルの高さと、私の頭の高さが合って、枕になって具合が良い。仰向くと、
生垣のカイヅカイブキの揃って片側に伸びた枝が、アーケードのように見える。
* * *
私が育ったとき、生垣はヒバで、高さは一間(1.8m)ほどだった。
その後、家を改築。母と大工さんが相談して、カイヅカイブキに植え替えた。
カイヅカイブキは大きくなる。母の好みもあって、二階建てのお向かいの屋根に
もう少しで届くという高さになった。トタン屋根の平屋に不似合いなこの生垣の
お蔭で、道路から少し入っただけの我が家は、庭だけは「軽井沢?」だった。
その生垣を、伐ることにした。
もともと私たちの分に過ぎたものだったのを、17年間、眺めて暮らせたのは
幸せだった。作業は、これまで世話をしていただいた植木屋さんにお願いした。
藍色の仕事着の植木屋さんの、美しい鋏の音が聞けなくなるのは淋しい。
でも木は生き物、一緒に暮らすなら十分な世話をしなければいけない。
そろそろ思い切ったほうが良いと考えた。
* * *
作業が始まった。
前の日に、1本1本の根元にお酒をあげて、「今まで有難う」とお礼を言った。
大勢ですれば短期間で終わるけれど、チェーンソーの音が大きくなってご近所の
迷惑になるからと、植木屋さんは一人で来て少しずつ作業を進めている。
チェーンソーの音が時折、遠慮がちに響く。
そっと…そっとで、まるでお茶のお手前のようだ。
庭の景色は、お向かいの家の壁が見えていた昔に戻る。
祖父の頃からのバラやツツジ、母の植えたツバキや低い木たちは健在だ。
高い生垣の無くなった分、陽が入るようになって庭が明るくなった。
今年に入って書きはじめたリコーダーとピアノの曲集は、次が7曲目。
カレンダー形式で3月から8月まで書いて、7曲目は9月。
チェーンソーの音を聞きながら、どんな曲にしようかなぁと考えている。
2018.4.17
|
美容室 |
|
|
”長さ、どうします?”
”いつも通り短めに。前髪は額にかからないように。後はおまかせします。”
人の顔の感じは、いろんなことで変わる。
まして70代になると、短い間に驚くほど変わるのを同年代の人で見ている。
せっかくなら美容師さんには、その時々の私に合わせて、好きなように腕を
振るってもらうほうが、双方楽しいと思うので、細かな注文はつけない。
…と、鏡を見て驚いた。
わ、おばあさんになっちゃってる!
そりゃそうよね…ここのところ、いろいろあったものね、
小さな刷毛でつけるパウダータイプの頬紅は、ここへ来るまでに風で飛んで、
それ以外は何もしない顔に、もろに疲れが出て、唇の色も薄く見える。
けれど、それが今日も、カットが進むにつれて変化する。これは魔法ですね。
今回は疲れが大きかった分、回復の度合いも大きくて、ブローが始まる頃には
鏡の中の私の「おばあさん度」は、今までのレベルに戻っていた…やれやれ。
丹念な仕上げのブローで美容師さんは、パーマをあてていない私の髪に柔らかな
ウエーブを作る。ほとんど白い髪が、ちょっとソフトクリームのようだ。
美容師さんが言う。
”髪の質が、良い…というか、ほどが良いんです”
全くの直毛ではなく微かにクセがある…その程合いが、ブローで形を作りやすい
丁度良い具合で、そういう髪は割と少ないのだそう。そういえば…と、父の髪を
思い出した。
そうか… 父も同じ髪だった。
白とグレーが混じって微かにウエーブした、大好きな父の晩年の髪。
父が亡くなったときに三十代だった私は、年がいったらあんな髪になりたいと、
ずっと思っていたのに、そのことを忘れていた。
”わぁ、私の髪、父の形見だったんですね、嬉しいな…”
髪が仕上がるまでの間、私はずっと、美容師さんに父の話をしていた。
いつもは、家族のことは余り話さないのだけれど。
2018.5.6
|
豆かん |
|
|
豆かんを食べたくて、
でも、買ったのや、店で食べるのではなく、自分で作って食べたくて、
買い置きしておいた赤エンドウを、塩ゆでするべく取り出した。
(豆かん=フルーツ等の載っていない、豆と寒天だけの、元祖みつ豆)
どうしても自分で作りたいのは、”こういうの”というイメージがあるから。
寒天は固め、砂糖を入れず、豆の塩味は気がつかないくらい少し、蜜は黒蜜。
それと、隣りの席の人を気にしないで、ゆっくり静かに食べたい。
それから、食べた後で人ごみを歩いたり電車に乗ったりしたくない。
それはともかく、赤エンドウの塩ゆでは、前に二度試みて失敗している。
今回は三度目の挑戦。失敗したくないなぁ。
ポケットファイルから取り出したレシピは、確かその後で手に入れたもの。
ネットで見つけて文章だけコピーしてプリントしたらしく、何年か経った今、
出所は不明。作られた方、お名前を記載出来なくて申し訳ありません。
* * *
①赤エンドウカップ1杯は、重曹小さじ1/4を入れた水に一晩浸しておき、
(重曹? 前は入れなったなぁ…)
②それをそのまま翌日、強火にかけ、沸騰したら水を更にカップ1杯足して、
⓷再び煮立ってきたら豆が踊らない程度に火を弱め、
④そのまま1時間、煮汁から豆が顔を出さないように水を足しながら煮続ける。
(前のとき、1時間も煮たかしら?)
⑤十分柔らかく煮えたら、ザルに上げて水を切り、
⑥上から熱湯をヤカン1杯かけ回す。これで豆の渋みが抜ける。
(あらかじめ読んでおいて良かった… ヤカンにお湯、沸かしてあります!)
⑦もう一度鍋に戻し、ヒタヒタの水を張って煮立て、
(ザルに上げてお湯をかけたり、水で煮直したり、しなかったなぁ)
⑧塩小さじ1杯程を加えて、
(私は小さじ半分弱にしよう)
⓽またザルに上げて、水気を切っておく。
(どれどれ… あ、おいしい! わぁ、成功!!)
★冷めるのを待ってフリーザーパックに入れて冷凍しました。
これで当分、いろいろに使えます。
* * *
本日、固めに作って冷やしておいた寒天を賽の目に切って、豆と一緒に
お椀に入れて黒蜜をかけて、焙じ茶を添えて、ゆっくり静かに食べました。
おいしいなぁ
豆かん… いろんなことを想い出します。
2018.6.14
|
|
トップへ戻る ←前の頁へ 次の頁へ→ ★目次へ |
|
|