「堀江はるよのエッセイ」

~日常の哲学・思ったこと考えた事~


CDと楽譜


二十八の巻

クリスマス

作曲中
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クリスマス


クリスマスが近づくと、いろんなことを思い出す。
自分の小さかったころのこと、娘の小さかったころのこと。
どちらもクリスマスには「手作り」が付きものだった。


昭和二十年代、私の家のクリスマスは、芝居とセットだった。
白いシーツを体に巻いて金紙の星をつけた魔法使いが杖を一振りすると、
蔭から飛び出した何者かが電灯のスイッチをひねって、舞台は暗転。
小さなシンデレラは大急ぎで上に着た「ボロ」を脱いで、電灯が点くのを
待って叫ぶ。”まぁ、すてきなドレス…おばぁさん、ありがとう!”
レコードに針が置かれるとメヌエットが流れて、次の場面はお城の舞踏会。
子どもたちは芝居を演じた後で、すき焼き丼と寒天のゼリーを食べた。

父の買って帰るクリスマスケーキは、小さな銀色の玉とバタークリームで
デコレーションされていて、ピンポン玉ほどのピンクのバラは、食べると
おなかがドスンと重くなった。


娘のクリスマスには、もう材料も出回っていたので、ケーキは私が作った。
あれは娘が五才の時かしら、スポンジケーキを大きめに焼いて生クリームを
たっぷり使ってデコレーションしたら、かなりの大きさになった。
朝のうちに完成したのを、テーブルに置いて、娘に見せて一喜びさせた後で、
さて、夜まで冷蔵庫に入れておこうと思ったら、いろいろ一杯で場所が無い。
仕方なく同じくらいの大きさのキャベツを出して、代わりにケーキを入れた。

外へ遊びに行った娘が、帰ってきて聞く。
”お母さん、ケーキは?”
目がテーブルの上を探している。
テーブルにはキャベツが載っている。

ふと閃いて、言ってみた。
”○ちゃん、なにかワルイことしたんじゃない?
 ケーキがキャベツになっちゃったよ”

娘は一瞬考えたが心当たりがない。
不審にたえない顔でキャベツを見ている。
私は慰めた。”いい子にしてたら、きっとケーキに戻るよ”

昼食の支度やらディナーの準備やらの都合で、キャベツは夕方まで冷蔵庫を
出たり入ったりして、その都度、ケーキは現れたり消えたりした。
娘は時々テーブルの上をチラチラと見ながら、妙におとなしく午後を過ごし、
私は、どうしたんだろうねぇと一緒に不審がりながら、娘に「その瞬間」を
見られないように細心の注意を払い、頃合いを見計らってテーブルに全部の
ご馳走を並べて、”良かったねぇ… いい子だったからケーキに戻ったよ!”と
ハッピーエンドで締めた。

      *     *     *     

今年は、どんなクリスマスにしようかな。
クリスチャンでない私にとって、クリスマスは想い出の季節。
想い出を辿りながら、今年のケーキは、たぶん半分だけ手作り。


                         2015.12.16



作曲中


直径10cmほどの銀色の輪の中に、ピエロが二人、向かい合って座って
代わりばんこに上がったり下がったり…。色違いの格子のズボンにフリルの
ついたシャツ、おそろいの小さな赤い蝶ネクタイに、目は(++)。
ずっと昔から欲しかったモビールが、リサイクル・ショップで売られていて、
思いがけず「憧れの品」が手に入った。とても嬉しい。

      *     *     *     

春から夏にかけて、8曲の小曲集「Bagatelles」を書いた。
秋の終わりに、今度はもう少し長い曲を書き始めて、少し前に完成。
これは組曲の一曲目で、今は二曲目を書いている。

この曲で私は、どうやら自分の日常を描写しているらしい。
一曲目には、ありふれたメロディが、こんなことで良いのかしらと
思うくらい次々と出て来る。私の日常って、こんなふう?
いや、どんな出来事も、私にとっては、ありふれてはいない。
書かれているメロディも、実は、ありふれた音にはなっていない。
私はピエロになって、自分の日常を笑い飛ばしているのかもしれない。

組曲は、たぶん五曲で終わる。
作曲中の二曲目で、私は少し真面目になっている。
でも何を言おうとしているのかは、16小節書いただけの今は、
自分にも、まだ判らない。

三曲目は、この組曲の中で一番長い曲になるだろう。
わかっているのは、ここまで。後は書いてみないと判らない。
ただ、この曲が、抑えても抑えても書かれるために起き上がってくる
強いエネルギーを持っているのは、はっきりと感じられる。

      *     *     *     

思いがけず脊椎狭窄症になったのが2014年の暮れ。
以来、こまめな自分流のケアで、マイペースでなら…という条件付きながら、
ほぼ普通に暮らせるようになった。現在、見た目は100%元気だ。

ただ「しないほうが良いこと」は、ポツポツ出てきた。
それと無理が出来なくなった。でも、これは良いことかもしれない。
もしかして、この次に来るのは老々介護の生活かもしれず、…とすれば
今の身軽な時間は貴重だ。あれもこれもと頑張ってはいられない。
自分の本分は作曲にあると思い定めて、後悔のないように生きなければ。

新年へ向けて、心の鉢巻を締めなおそう。
フレー・フレー・わたし! エイ・エイ・オー!!

                         2016.12/15

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