日本の音律は私にとって「ふるさとの訛り」です。
良き仲間を得て、初めて琵琶と笛の作品を書きました。
その仲間「音人まほし」の第一回の演奏会の
パンフレットをお届けいたします。

なお、間もなく第二回の演奏会がございます。
ご案内は、こちらをご覧下さい。



                  堀江はるよ




音人

の響き〜古から今へ

第一回
200861 () 14:00 開演
かん芸館








当日のパンフレットより


ごあいさつ プログラム 作品について@ 塩高和之
作品についてA 前澤祐子 作品についてB 堀江はるよ
第二回のご案内







音人

えさわ ゆうこ

りえ はるよ

おたか かずゆき

三つの個性が 和の響きを奏でます   



音人まほし 第一回演奏会へ 

ようこそ!    









プログラム

調べ 能管:前澤祐子

祇園精舎 薩摩琵琶:塩高和之

乱曲 (鯉沼廣行) 能管:前澤祐子

平敦盛〜月下の笛 平家物語「敦盛最期」より
(塩高和之  作詞:森田亨)
薩摩琵琶:塩高和之

…… 休憩 ……

月の澪 (前澤祐子) 篠笛:前澤祐子

青月(堀江はるよ) 篠笛:前澤祐子  楽琵琶:塩高和之

鶴〜つるの民話をもとに (堀江はるよ)
篠笛:前澤祐子 楽琵琶:塩高和之

まろばし (塩高和之)
能管:前澤祐子 薩摩琵琶:塩高和之
   








作品について @     塩高和之


「祇園精舎」
平家物語の冒頭、仏教の無常観を現した一節。
平家物語は
この一節に集約され、仏教文学としての物語が
ここから始まります。


「平敦盛〜月下の笛」
平家物語「敦盛最期」より。
一の谷の合戦で、平家の若武者敦盛に、熊谷次郎直実が挑みます。
この章では、いつの世も終わることの無い人間の業、そして無常という、
仏教の根本精神が、月下の須磨の浦を舞台に描かれています


「まろばし」
「まろばし」とは剣道の極意の事。

邦楽が本来持つ「間」「いき」を現代に再度甦らせるべく、
能管と薩摩琵琶による対決の場面を設定しました。
リズム・メロディー・ハーモニーを土台とし、構造を持って成り立つ

洋楽とは全く違う、現代の日本音楽が現れます。




ひとこと

武士道教育の為の音楽として誕生した薩摩琵琶は、近世の邦楽のような
舞台で聞かせる音楽ではありませんでした。薩摩琵琶を弾く事は
精神修養であり、剣の修行と同じ意味を持っていました。


一方、楽琵琶は殿上人の教養として、歴代天皇においては、政治的にも、
宗教的にも取得しなければならない必須科目でありました。このように
琵琶楽は日本の音楽の中でも特殊な位置にあります。現在では雅楽も
薩摩琵琶も、エンターティメントとして楽しむようになりましたが、
その成り立ちの特殊性は、今でも色濃く残っています。

私はそんな琵琶楽が本来の持っている精神性を基本にして、
現代そして次代に向けて演奏して行こうと思っております。
古から現代へ、今に続く琵琶楽をお聞き下さい。









作品について A     前澤祐子


「乱曲」
能管。これ程までに個性の強い笛を好んだ日本人とは、
よく言う「穏やかな人種」なのだろうか。


「月の澪」
伊豆下田で着想。
穏やかな海に昇った満月。海面にできた月の光の道。
思いのほか細く、くっきりとして、
その道の上を舟で進めば…。



 … ひとこと…

 笛を吹きたくなって、母にねだって
 買ってもらったのは、十六の頃。
 教えてくれる人も無く鳴らせぬ数日間に
 情けなく諦めた時に、音が出た。
 音が出れば全てを肯定。


 成人して鯉沼廣行氏に出会った事で笛に戻り、
 笛を楽しみ教えることに難しさを感じつつ、

 今まで何故笛と共に来たのか。

 昔ほど全てを肯定する勇気は
 大人になれば無くなるものなのに。

 恐らく…深い樹々の間にある不思議な空気。
 空間による圧力の違い。等々。

 それが笛の音のように感じる自分と離れたくないから。
 空気の隙間から音を抜き出し、竹の振動に合わせてみる。
 そうすると、自分の周りの空間が変わる。
 その変化に振り回されることも有るくらいに。
 でも、古くから有る楽器なのに、
 古の人達は秘密にでもしていたのか、
 笛の個性を独奏楽器として表にしてこなかった。


 竹の中空は音の宝庫。
 そこからひとつの音を選び愛しむ事ができれば、
 笛も喜んでくれるかしら。










作品について B     堀江はるよ

「鶴〜つるの民話をもとに」

 一、 
 雪空を、群れからはぐれた鶴が一羽、飛んでいます。
 高く啼く声に、応えはありません。

 二、炉辺
 炉辺でくつろぐ若者とツル。
 酔って眠る若者。傍らでツルは想いに沈みます。
 自分は人になれるのだろうか…と。

 三、わらべうた
 村の辻に立つツル。陽の光の中で遊ぶ子ども達。

 四、機屋(はたや)
 村の女は、機を織ります。ツルも、機を織ります。
 雪に閉じ込められた機屋で、来る日も、来る日も。

 五、織る
 機の音に、崩れてゆくものがあります。
 とどめようもなく甦る鶴の心、人の姿は失われて、
 機の前に居るのは、一羽の鶴です。

六、飛ぶ 終曲
飛ぶことへのためらい…
やがて心を決めて、翼を広げ、ツルは地を離れます
夕空を、鶴が遠ざかってゆきます。


「青月」
  夜半の想いに
  笛の音は、木立を昇って月となる。




  ひとこと
   日本に生きて六十余年になります。
   いま想うことを、私の言葉で描きました。
   朝な夕な、ラジオから流れる邦楽を聞いて育った
   私にとって、和の響きは「ふるさとのなまり」です。

                     堀江はるよ エッセイのサイト 「カタツムリの独り言」
                            http: //www.h2.dion.ne.jp/~comodo/







の響き〜古から今へ
第二回
20081130日(
14:00 開演 : かん芸館
 
秋月賦 平家物語「月見」より)
観音華 (塩高和之 作詞:赤阪友昭)
 (前澤祐子)
鶴〜つるの民話をもとに 春風 (堀江はるよ)

 
 お問い合わせ
 かたつむり出版・音人

 http://www.h-horie.com/
チラシ





                       
                       
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